当事務所には、交通事故に関するご相談・ご依頼が多数寄せられますが、主婦の方からのご相談・ご依頼をいただくことも少なくありません。
ここでは、交通事故に遭われた主婦の方の補償について解説させていただきます。

主婦の方でも、休業損害を請求できます

主婦の方の場合、給料のように目に見える形で収入を得ているわけではありませんが、日々、家事(買物・炊事・掃除・洗濯・育児など)という大変な仕事をしています。
そこで、交通事故によって実際に家事を休まなければならなくなった分について、休業損害として補償を受けることができます。

この場合の休業損害の計算方法ですが、まずは、女子労働者全体の平均賃金額から、1日あたりの収入額を割り出します。
そして、この1日当たりの収入額をもとに、実際に家事を休まざるを得なかった分について、休業損害として補償を求めていくことになります。
1日当たりに収入額は、次のように計算されます。

385万9400円(令和3年の女子労働者全体の平均賃金額※)÷365日=日額1万0573円
※賃金センサス(国の作成している賃金統計)に基づきます。

保険会社が主婦の休業損害を支払うと自ら提示してくる場合、多くは、自賠責保険の基準である「1日6100円」とされることが多いです。
したがって、弁護士が介入した場合の方が、休業損害額は大きくなることが通常です。

次に、家事を休まなければならなくなった分の計算方法としては、一定期間ごとに、実際にすることができなかった家事の内容などから割合を定めて計算する例が多く見られます。

例えば、交通事故日から症状固定まで入院期間10日・通院期間160日(総治療期間170日)のケースで、入院中と退院後10日間の計20日間は100%家事ができないとして計算、次の50日間は75%家事ができないとして計算、次の50日間は50%、次の50日間は25%とするという方法です。
この場合の具体的な計算は、次のとおりになります。

1万0573円×20日×100%=21万1460円
1万0573円×50日×75%=39万6487円
1万0573円×50日×50%=26万4325円
1万0573円×50日×25%=13万2162円
合計 100万4434円

兼業主婦の方の場合

家事もしながら、パート・アルバイトもしている兼業主婦の方の場合、パート・アルバイトを休んだ分しか補償されないのかという問題があります。
結論を言うと、パートやアルバイトの収入が上記の女子労働者全体の平均賃金額を超えない場合には、兼業主婦の方も、専業主婦の方と同じように、平均賃金額に基づいた計算により、休業損害を請求できるというのが裁判所の考え方です。

保険会社は、パート・アルバイトの分の休業損害だけを支払って終わりにしようとすることが多いです。
また、生活のためにパート・アルバイトにはなんとか頑張って行ったので減収はないが、その分家事ができなかったという場合、保険会社は、「減収がないから休業損害が発生していない」とか、「パート・アルバイトを休んでいないのだから、家事もできたはずだ」などと言ってくることもありますので、注意が必要です。
この場合でも、休業損害が認められる余地はあります。

後遺障害逸失利益も請求できます

主婦の方でも、後遺障害によって家事に支障が生じている部分について、後遺障害逸失利益を請求することができます。
後遺障害逸失利益についても、休業損害と同様に、女子労働者の平均賃金額をもとにして計算します。
計算方法としては、女子労働者の平均賃金額に、後遺障害の等級に応じた労働能力喪失率、労働能力喪失期間をかけた金額を請求することになります。

頚部挫傷の傷害を負い、頚部痛の症状で14級9号の後遺障害を負った方の場合を例に、計算してみましょう。

385万9400円×5%(労働能力喪失率:5%)×4.5797(労働能力喪失期間を5年とした場合のライプニッツ係数:4.5797)=88万3744円

後遺障害14級9号が認定された場合、保険会社が提示してくる後遺障害逸失利益は、43万円(自賠責保険の基準)を上限としていることがほとんどです。
したがって、この点についても、弁護士が介入した場合の方が、後遺障害逸失利益の額は大きくなることが通常です。

また、より重度の後遺障害の場合には、後遺障害逸失利益の額がより高くなり、保険会社の提示額との開きがより大きくなるのが通常です。
このようなケースでは、弁護士を活用するメリットがさらに大きいと言えます。

主婦の方の解決事例

40代の主婦が、375万円を獲得した事案(むちうち・腰部痛等で後遺障害併合14級)

八戸市在住の40代の主婦が、自動車を運転中(停止中)に追突事故に遭い、頚部挫傷、背部挫傷、腰部挫傷、右肩捻挫などの傷害を負った交通事故です。
当事務所の弁護士が後遺障害等級の認定手続(被害者請求)を行い、後遺障害併合14級の認定を得ました。

当事務所の弁護士は、適正な賠償金を獲得するため、訴訟を提起しました。
訴訟の結果、裁判基準による賠償金300万円を受領する内容での和解が成立しました。
受領済みの自賠責保険金75万円と合わせ、合計375万円を獲得することができました。
休業損害は41万円、後遺障害逸失利益は76万円が認められています。

70代の主婦が、提示額(522万円)から728万円増額(1250万円獲得)した事案(左脛骨高原骨折後の左膝痛等で後遺障害12級)

八戸市周辺郡部在住の70代の主婦が、横断歩道を歩行中に自動車に衝突され、左脛骨高原骨折、左腓骨近位端骨折、左肋骨骨折などの傷害を負った交通事故です。
後遺障害12級の認定を受けたあと、保険会社から提示された賠償額について疑問を呈し、適正な額の賠償を受けたいとのことで、ご相談・ご依頼いただきました。

当事務所の弁護士は、裁判基準での賠償金を確保するため、訴訟を提起しました。
訴訟の結果、提示額の522万円から倍以上の増額となる1250万円を獲得することができました(和解が成立)。
損害賠償額のうち、休業損害は255万円(保険会社の提示額は127万円)、後遺障害逸失利益は288万円(保険会社の提示額は148万円)での解決でした。

交通事故に遭われた主婦の方へ

当事務所の弁護士は、主婦の方の交通事故について、多数のご相談・ご依頼実績があります。
適正な休業損害、後遺障害逸失利益が補償されるか否かで、賠償金額は大きく変わってきます。
交通事故でお困りの方は、お気軽に当事務所にご相談ください。
交通事故に強い弁護士が、親身になって対応させていただきます。