ご加入の自動車保険に人身傷害保険が付帯されている場合、ご自身やご家族が交通事故で怪我をしたときに、ご加入の自動車保険から損害の補償(保険金)を受けられます。
人身傷害保険では、被害者に事故発生について過失(落ち度)がある場合でも、支払われる保険金が減額されることはありません。
加害者がいない自損事故の場合や、ひき逃げで加害者が不明の場合についても、人身傷害保険を使用して、補償を受けることができます。
一方で、人身傷害保険による補償の額は、保険会社が定める約款に従うものであり、裁判基準と比較すると低額です。
その意味で、交通事故で被った損害の全額が補償されるわけではありません。
もっとも、加害者に対する損害賠償請求の訴訟(裁判)を提起し、訴訟の中で裁判基準による損害の認定がなされた場合には、裁判基準による人身傷害保険金の算定が行われます。
例えば、過失割合が被害者20:加害者80の場合、加害者に対する訴訟により裁判基準による賠償額の80%を回収したうえで、人身傷害保険から裁判基準による賠償額の20%相当の保険金を回収することにより、全損害の補償を受けることが可能となるのです。
このように、加害者に対する損害賠償請求の訴訟と人身傷害保険の使用とを組み合わせることにより、裁判基準による満額の補償を実現することができます。
ただ、これを実現するためには、訴訟の提起が必須となります。
上記の過失割合が被害者20:加害者80の例で、仮に加害者側保険会社との示談交渉により裁判基準の80%の賠償金で合意したとしても、人身傷害保険金の計算は保険会社の約款の基準で行われてしまいます。
人身傷害保険金を含む十分な補償を受けるためには、訴訟を検討すべきケースが多いですので、まずは弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
なお、人身傷害保険を使用しただけでは、自動車保険の保険等級が下がることはありません。