1 事故発生
10代の女性が、自転車を運転中に自動車にはねられる事故に遭い、歯牙欠損、顔面多発骨折、両膝打撲傷等の傷害を負いました。
2 相談・依頼のきっかけ
お客様は、前歯4本を折る怪我を負い、インプラント治療を受けている途中でした。
お客様は、保険会社から、健康保険への切り替えを打診されたり、ご自分の加入している保険の利用を打診されたりして、保険会社に不信感を抱いているとのことで、ご相談をいただきました。
お客様は、今後は弁護士を間に入れて対応したいとのご意向であり、当事務所にご依頼をいただくことになりました。
3 当事務所の活動
当事務所の弁護士は、ご依頼をいただいたあと、すぐに保険会社に連絡を取り、お客様の連絡窓口として、治療期間中の保険会社への対応を行うこととなりました。
その後、お客様のインプラント治療が一通り落ち着き、症状固定に至ったタイミングで、後遺障害等級認定の申請を行いました。
等級認定の申請の結果、4歯の完全脱臼による歯牙障害について、14級2号に該当するとの認定を受け、自賠責保険金75万円が支払われました。
お客様はインプラント治療を受けていたため、将来的にもメンテナンス費用やインプラントが破損した場合の再手術費用の負担が想定される状況にありました。
当事務所の弁護士は、そのような将来の治療費について適切に賠償を受けるためには、訴訟による解決が必要と判断し、資料を用意した上で、訴訟を提起しました。
4 当事務所が関与した結果
訴訟では、保険会社側の弁護士から、インプラントは半永久的に使用できるものであるから、将来的にも修復のための再手術を行う必要はなく、将来の治療費は認められないとの主張がなされ、将来の治療費が大きく争われました。
また、慰謝料についても、治療期間が長期に及んでいるとして、金額の大幅な減少が主張されました。
これに対して、当事務所の弁護士は、医師からの意見書や、インプラント治療に関する文献や論文等を踏まえて、インプラントには様々なトラブルが生じる可能性があり、将来的にも修復や再手術が必要となることについて、丁寧に主張・立証し、反論を行いました。
また、慰謝料についても、インプラント治療のため時間がかかったことや、お客様にも大きな苦痛が生じていたことを具体的に主張・立証し、慰謝料を減額する理由はないとの反論を行いました。
その後、裁判所から、和解案の提示がなされました。
裁判所の和解案では、インプラントについての将来の治療費も認められており、将来の治療費に関する金額や、慰謝料の金額についても、当方の主張が相当程度認められた内容でした。
お客様とも協議の上、裁判所提案の和解案を受け入れ、賠償金額280万円を獲得する内容の裁判上の和解を成立させることに成功しました。
受領済みの自賠責保険金75万円と合わせると、合計355万円の獲得となりました。
主な損害項目については、下記のとおりです。
項目 | 当事務所介入後の結果 |
---|---|
将来治療費 | 123万円 |
傷害慰謝料 | 120万円 |
後遺障害慰謝料 | 110万円 |
調整金(弁護士費用・遅延損害金) | 108万円 |
過失割合 | 20% |
【獲得額に関するご注意】
解決事例のご紹介においては、獲得額(獲得合計額)を記載させていただいておりますが、保険会社から医療機関に対して直接支払われる治療費等を含めない金額となっております。
他の事務所のサイトでは、こうした治療費等についても獲得額に含めて、金額を大きく見せている例が散見されます。
しかし、こうした治療費等はお客様の手元に残るものではなく、サイトを閲覧する方に誤解を与えかねないという点で、不適切な表記であると考えております。
そこで、当事務所では、お客様の手元に支払われる金額を獲得額として記載させていただいております。
5 解決のポイント(所感)
交通事故により、歯を折るなどの歯の傷害を負うこともあります。
歯を折ってしまった場合には様々な治療方法がありますが、現在では、インプラント治療も普及しており、インプラント治療を選択される方も多くいらっしゃいます。
インプラント治療を行った場合には、そもそもインプラント治療が必要だったのかということで治療費が争われたり、今回のように将来の治療費が争われたりすることが多くあります。
そのため、インプラント治療に関する賠償を求める場合には、主治医の意見や、医学文献等を踏まえて、医学的な視点を持って、具体的・説得的に主張を行う必要があります。