交通事故問題の仕事をする際に活用するツールとして、今回は、判例タイムズ社が発行する「別冊判例タイムズ38 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という本をご紹介させていただきます。
この本は、表紙の色が緑であるため、「緑の本」と呼ばれることもあります。
別冊判例タイムズ38は、そのタイトルのとおり、過失相殺が問題となった場合に必ず参照します。
別冊判例タイムズ38には、事故態様を細かく類型化して定めた過失割合の認定基準が掲載されています。
この本は、訴訟において裁判官も用いる信頼性が高い 資料であり、示談交渉および訴訟の実務で積極的に活用されています。
交通事故問題の仕事をするにあたって、なくてはならない非常に重要なツールです。
しかし、場合によっては、この本に記載されたどの類型にも該当しないケース、基準の解釈・当てはめに争いがあるケース、事故状況自体に争いがあるケースなどもあり、この本で過失相殺の問題がすべて解決というわけではありません。
この本をもとに適正な過失割合を判断するには交通事故に関する専門的な知識と経験が不可欠であり、事故状況自体に争いがあるケースでは刑事記録を取得して確認・検討することも大切です。
過失相殺の問題が生じた場合は、まずは交通事故に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。
(弁護士・木村哲也)