当事務所では、人身事故、物損事故とも、多数の取り扱いがあります。
今回のコラムは、物損事故について、お話ししたいと思います。
一般社団法人日本損害保険協会のデータによりますと、平成24年の人身事故(被害者数)が1,220,049件であるのに対し、物損事故(物件数)は6,887,731件となっています。
つまり、物損事故の方が、圧倒的に件数が多いのです。
平成26年の10月には、全国の簡易裁判所で、平成25年の物損事故の訴訟件数が10年前の5倍にのぼったという報道がありました。
その背景には、弁護士費用特約の存在があると考えられます。
弁護士費用特約は、東京海上日動社が「もらい事故アシスト」という商品を販売し始めてから、他社も追随し、徐々に定着してきたものです。
弁護士費用特約を使用することにより、損害額が数万円から数十万円程度の比較的軽微な物損事故であっても、費用倒れを気にすることなく、弁護士に依頼して、示談交渉や訴訟を行うことができるようになりました。
当事務所でも、物損事故の取扱件数は、年々増えている印象です。
物損事故では、事故の状況や過失割合が中心的な争点となることが多いのですが、目撃者がいないことが多く、客観的な立証が困難であるなど、なかなか大変な面があります。
しかし、件数が増えているということは、ニーズが多い分野ということです。
また、人身の解決の前段階として、あるいは並行して、物損の解決を図るというケースもあります。
今後とも、人身事故、物損事故の両面で、多くの案件を解決していきたいと思います。
(弁護士・木村哲也)