民事訴訟を提起すれば、必ず判決が下されるというわけではありません。
判決に至る前に、双方が折り合って「和解」という形で終了することも多く、日本の民事訴訟では、8割程度が和解で解決しているようです。
交通事故の損害賠償請求の訴訟では、被害者側・加害者側が主張・立証を一通り尽くしたあと、裁判官から和解案が示され、双方が和解に応じるかどうかを検討するというのが、通常の流れとなります。
裁判官から示された和解案は、その時点での裁判官の心証をある程度は反映しており、判決を下す場合には、和解案に近い内容の判決になるだろうという推測が働きます。
自分に不利な和解案であれば、それに応じるのか、あるいは不利な判決を覚悟で和解案を受け入れず、控訴(上級の裁判所への不服申立て)で戦うことを考えるのかという決断を迫られることになります。
そのため、まずは裁判官から有利な和解案を引き出すことが非常に重要であり、裁判官の有利な心証を形成するべく、双方が主張・立証を尽くすことになります。
ここが、交通事故の損害賠償請求の訴訟において、最も重要な活動のひとつです。
(弁護士・木村哲也)