死亡による逸失利益は、稼働部分(働いて得る収入の部分)と年金部分とがあります。
それぞれ、次の式で計算します。
稼働部分の逸失利益=基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
年金部分の逸失利益=年金額×(1-生活費控除率)×平均余命年数に対応するライプニッツ係数
給料や年金の収入を得ても、それがまるまる手元に残るわけではなく、その中から生活費を支出し、手元に残るのは生活費を差し引いた残りというのが通常です。
そして、交通事故で死亡してしまうと、将来得られるはずであった給料や年金が失われる反面、将来の生活費の支出がなくなります。
そこで、損害額の算定においては、一定の割合を生活費分として控除するのであり、その割合のことを生活費控除率といいます。
稼働部分の生活費控除率の標準値は、次のとおりです。
1.一家の支柱
①被扶養者1人の場合・・・40%
②被扶養者2人以上の場合・・・30%
2.女性(主婦、独身、幼児等を含む)・・・30%
なお、女子年少者の逸失利益につき、男女の全労働者・全年齢の平均賃金を基礎収入とする場合には、生活費控除率を40~45%とするものが多いです。
3.男性(独身、幼児等を含む)・・・50%
4.兄弟姉妹のみが相続人のときは別途考慮する。
年金部分の生活費控除率は、稼働部分の生活費控除率よりも高くされる例が多く、経験上60~70%程度とされるのが一般的であると考えられます。