弁護士木村哲也

交通事故で怪我をした場合、怪我を負わされたこと自体による精神的苦痛のほか、入院や通院により身体的自由が奪われ、治療や検査を受ける煩わしさを強いられるなど、怪我を負わされたことに起因する様々な精神的苦痛を被ることになります。
傷害慰謝料とは、こうした精神的苦痛を金銭的に評価して賠償するものです。

傷害慰謝料は、入通院慰謝料とも言います。

こうした精神的苦痛の内容や程度は、その事故ごとのケースバイケースであり、個別に正確な金銭評価をすることは困難です。
そのため、実務では原則として入通院の期間を基準に、傷害慰謝料の額が算定されます。

他覚症状のないむちうち症や軽度の打撲・挫傷については、被害者の方の気質的なものや年齢的なものによって、入通院の期間が長引くことがあるため、傷害慰謝料の額が他の傷害の7割程度として算定されます。

保険会社が示談で提示してくる傷害慰謝料の金額は、裁判の基準よりも相当低い額です。
保険会社の提示を鵜呑みにすることなく、まずは交通事故に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。

【裁判基準による傷害慰謝料の金額】
原則として入通院期間を基礎として下記の別表Ⅰによります(通院が長期にわたる場合には、症状、治療内容、通院頻度を踏まえ、実通院日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもあります)。
他覚症状のないむち打ち症や軽度の打撲・挫傷の事案では、下記の別表Ⅱによります(通院が長期にわたる場合には、症状、治療内容、通院頻度を踏まえ、実通院日数の3倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもあります)。

別表Ⅰ(単位:万円)
入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
通院 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329
8月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335
別表Ⅱ(単位:万円)
入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
通院 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195
1月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199
2月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201
3月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202
4月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 203
5月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204
6月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205
7月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206
8月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207
9月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208
10月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209

交通事故に関するQ&A一覧

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32 死亡慰謝料とは?
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56 使用者責任とは?
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73 死亡事故の被害者から生前贈与を受けた法定相続人がいます。その法定相続人は、特別受益があるため法定相続分を下回る損害賠償金しか受け取ることができないのでしょうか?
74 現在は別の弁護士に依頼していますが、今から他の弁護士に依頼することはできますか?
75 医師から手術の話をされていますが、手術を受けるかどうか迷っています。手術を受けなかった場合、後遺障害の認定や損害賠償金の額に影響しますか?
76 症状固定後の治療費・手術費を請求することはできますか?
77 交通事故による後遺障害のため、将来にわたって治療・手術が必要となります。将来の治療費・手術費の請求は認められますか?
78 交通事故による後遺障害のため、将来にわたって介護が必要となります。将来の介護費の請求は認められますか?
79 自営業者の場合、逸失利益の基礎収入はどのように認定されますか?
80 自営業者の場合、休業損害はどのように計算しますか?
81 弁護士を選ぶ際には何を基準にすればよいのでしょうか?
82 会社・法人の役員の場合、逸失利益の基礎収入はどのように認定されますか?
83 外国人が交通事故の被害に遭った場合、適用される法律、逸失利益、慰謝料はどのように取り扱われますか?
84 若年者(30歳未満程度)の場合、逸失利益の基礎収入はどのように認定されますか?
85 後遺障害逸失利益の労働能力喪失率は、職業によって変わってきますか?
86 後遺障害による自宅・自動車の改造費等(バリアフリー化)の請求は認められますか?
87 怪我や後遺障害のために転居が必要となった場合、転居費用、仮住居費、家賃差額等の請求は認められますか?
88 後遺障害により車椅子、義手・義足、眼鏡等が必要となる場合、購入費用の賠償請求は認められますか?
89 給与所得者の休業損害は、どのように計算しますか?
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91 被害者側の自動車保険の保険会社は、示談交渉をしてくれないのでしょうか?
92 交通事故の被害者が自己破産をする場合、損害賠償金はどうなりますか?
93 労災保険はどのような場合に使用するのがよいのでしょうか?
94 勤務中または通勤中の交通事故の場合、労災保険と健康保険はどちらを使うのがよいでしょうか?
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96 労災保険から治療費が支払われた場合のメリットは?
97 労災保険を使用すれば、労災保険料が上がるのでしょうか?
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101 交通事故で入院した場合、個室使用料(差額ベッド代)の請求は認められますか?
102 家族が入院に付き添った場合、入院付添費・休業損害・交通費・宿泊費は賠償してもらえますか?
103 家族が通院に付き添った場合、通院付添費・休業損害・交通費は賠償してもらえますか?
104 タクシーによる通院交通費の請求は認められますか?
105 家族による見舞い・駆けつけのための交通費の請求は認められますか?
106 治療中の通勤・通学・買い物など日常生活のための交通費の請求は認められますか?
107 評価損(格落ち損)に対する賠償は認められますか?
108 交通事故により自動車が全損になった場合、賠償はどうなりますか?
109 シートベルト未装着の場合、過失相殺されますか?
110 私は助手席・後部座席に乗っていただけなのですが、過失相殺されるのでしょうか?
111 刑事裁判の被害者参加制度とは?
112 裁判基準による賠償金を受け取るためには、必ず裁判をしなければならないのでしょうか?