交通事故による怪我のために勤務が困難になり、退職を余儀なくされることがあります。
このような場合には、交通事故の被害に遭わなければ得られたはずの症状固定日までの給与相当額を、休業損害として賠償請求することができます。
ただし、①交通事故と退職との因果関係、②退職後の休業日数と基礎収入、が問題となりますので、注意が必要です。
①交通事故と退職との因果関係
交通事故とは別の原因で退職した場合には、退職後の給与相当額は休業損害とは認められません。
このような場合、退職後の給与相当額は、交通事故により発生した損害であるとは言えないからです。
このように、交通事故と退職との因果関係により休業損害を否認されてしまうことがないように、勤務先の退職証明書に「交通事故による怪我の症状が原因で仕事を続けることができなくなった」旨を記載してもらうなどの対応が必要となることがあります。
②退職後の休業日数と基礎収入
上記のような交通事故と退職との因果関係が肯定されれば、退職から症状固定日までの給与相当額が休業損害として認められるのが基本です。
ただし、就労可能となってから再就職先を探すのに相当な期間に限り休業損害を認めるとした裁判例(東京地方裁判所平成14年5月28日判決)も存在します。
受傷の内容・程度により、特に比較的軽傷の場合などには、必ずしも症状固定日までの全期間について満額が認められるとは限らないことには注意が必要です。