交通事故の被害に遭った場合、加害者側の保険会社が損害の補償を行うのが通常です。
一方で、勤務中または通勤中の交通事故の場合には、労災保険を使用することもできます。
労災保険の使用が推奨されるのは、まずは過失割合が問題となる場合です。
労災保険では、治療費(療養補償給付)、休業損害(休業補償給付)、後遺障害に対する補償(障害補償給付)、死亡事故の遺族に対する補償(遺族補償給付)などがあります。
これらの労災保険給付は、保険会社からの補償とは異なり、過失割合により減額されることがありません。
また、労災保険では、休業損害が発生する場合には休業特別支給金、後遺障害が残る場合には障害特別支給金、死亡事故の場合には遺族特別支給金など、特別支給金が支給される場合があります。
これらの特別支給金は、保険会社からの補償とは別枠で受領できます(保険会社が受け取る損害賠償金から控除されません)。
以上から、過失割合が問題となる場合、特別支給金が支給される場合(休業損害が発生する場合、後遺障害が残る場合、死亡事故の場合など)には、労災保険を使用すると補償が手厚くなります。
その他、労災保険を使用した場合には、保険会社による補償の場合と比べて、治療費の打ち切りをしつこく要求してくることが少ないというメリットがあります。
また、自賠責保険の後遺障害等級認定は書面審査であるのに対し、労災保険の場合には医師が面談するため、有利な認定となることが多いというメリットもあります。
一方で、労災保険を使用する場合には、労働基準監督署に多くの書類を提出する必要があり、会社の協力も必要となります。
また、後遺障害の認定は、労災保険と自賠責保険の両方の認定手続を行う必要があり、手続に時間がかかることがあります。