個室を使用する必要性・相当性がある場合には、個室使用料(差額ベッド代)の請求が認められます。
個室使用の必要性・相当性があるかどうかは、それぞれの事案ごとに個別具体的に判断されます。
具体的には、以下のような場合には、個室使用料の請求が認められると考えられます。
□事故による傷病の内容・程度が重篤であるため、家族による付添看護、医療機器の設置などのためにスペースの確保が必要となる場合。
□事故による傷病のために免疫力が低下しており、感染症に罹患するおそれがあるとして、医師から個室の使用を指示された場合。
□被害者の精神状態等から大部屋での入院生活に困難があり、個室を使用する必要があると認められる場合。
また、病院に大部屋の空きがないため、個室を使用せざるを得ない場合にも、個室使用の必要性・相当性が肯定され、個室使用料の請求が認められることが多いです。
一方で、「個室がいい」という個人的な理由であれば、個室使用料の請求は認められず、大部屋のベッドとの差額(差額ベッド代)は自己負担となります。
個室使用料の請求が争われた場合には、被害者の側が個室使用の必要性・相当性を主張・立証しなければなりません。
具体的な立証方法(証拠)としては、診療録(カルテ)などの医療記録を参照することや、主治医から個室使用の必要性があることの照会回答書を取り付けることなどが考えられます。