交通事故問題の仕事をする際に活用するツールとして、今回は、「青い本」というものをご紹介させていただきます。
「青い本」とは、財団法人日弁連交通事故相談センターが発行する「交通事故損害額算定基準 実務運用と解説」という本のことです。
表紙の色が青であるため、通称「青い本」と呼ばれています。
青い本は、前回ご紹介させていただいた赤い本と同じく、訴訟を提起した場合に認められる損害賠償額の算定基準(裁判基準)と、数多くの参考判例が掲載されています。
もっとも、赤い本とはやや基準が異なり、赤い本が首都圏を対象とするスタンダードであるのに対し、青い本は全国向けのスタンダードを示したものであると言われています。
また、青い本には、巻末に付録として、様々な専門家による交通事故関係の論点に関する講演録が収録されています。
なお、赤い本が1年ごとに発行されるのに対し、青い本は2年ごとに発行され、最新の情報に改められます。
上記のとおり、赤い本は首都圏を対象とするスタンダードであると言われていますが、青森県の裁判所では赤い本が用いられており、青森県での示談交渉についても赤い本が活用されています。
私が司法修習(司法試験合格後の研修)で札幌の裁判所に配属された際も、赤い本が用いられていました。
大阪などでは青い本が用いられる傾向にあるようですが、全国的には首都圏以外でも赤い本を用いることが多いようです。
このように、青森県では青い本ではなく赤い本が用いられるため、青森県での交通事故問題を取り扱うにあたっては、青い本の重要性は赤い本と比べると低いと言えます。
もっとも、赤い本を損害額算定のベースとしつつ、赤い本の説明に疑問がある場合には青い本を参照とすることもあり、青い本も業務上なくてはならないツールです。
(弁護士・木村哲也)