平成29年8月26日と27日、NPO法人交通事故110番様による「第9回 法律家のための交通事故実務講座」が東京で開催され、弁護士・山口龍介が受講してきました。
1日目(8月26日)は、対人賠償保険・人身傷害保険・無保険車傷害保険といった自動車保険について、各保険会社の補償範囲、補償内容に関する講座が行われました。
被害者の方にも一定の過失がある場合、自分の人身傷害保険を先に使用してから加害者へ賠償請求(人傷先行)するか、それとも先に加害者へ賠償請求(賠償先行)するかで、被害者の方が最終的に受けられる補償の範囲が変わってくることがあります。
この人傷先行か賠償先行かで補償の範囲が変わるのかどうかは、保険会社ごとに異なります。
そのため、交通事故被害者の方々の救済のためには、各保険会社の自動車保険の約款に精通し、補償範囲、補償内容を正確に把握していなければなりません。
2日目(8月27日)は、前半は「子どもの高次脳機能障害」というテーマでその立証の難しさと対応について、後半は「法曹界と医学界の架け橋」というテーマで後遺障害の立証における画像診断の有用性について、それぞれ専門の医師から講演がありました。
子どもの高次脳機能障害の場合、成長や発達とともに症状が変化する可能性があること、脳の回復する力(可塑性)があるため症状が改善する可能性があること、性格変化やコミュニケーション障害が成長過程によるものだとして見落とされてしまう可能性があることなどから、大人の場合と比べて、後遺障害の立証が特に困難となります。
そのため、適正な後遺障害等級認定と損害賠償金を獲得し、真の被害者救済を実現するためには、子どもの高次脳機能障害に関する学習と研鑚、そして、子どもの高次脳機能障害に詳しい専門医との連携が不可欠です。
今回の講座では、特に子どもの高次脳機能障害と画像診断に関する理解を深めることができ、また、その分野の専門医とのつながりを得ることができて、とても貴重な2日間となりました。
今回学んだことを当事務所の弁護士全員で共有して、今後とも、事務所全体として交通事故被害者の方々の救済のために研鑚を続けて参りたいと思います。
(弁護士・山口龍介)