現在、我が国では高齢化が進行しており、高齢者の方が交通事故の被害に遭われるケースも多く起きています。
政府の発表によれば、全国における平成29年中の交通事故死者数は3694人であり、そのうち高齢者(65歳以上)は2020人であったとのことです。
また、青森県警察の発表によれば、青森県内における平成29年中の交通事故死者数は42人であり、そのうち高齢者は23名であったとのことです。
交通事故死者数に占める高齢者の割合はいずれも約54%であり、その割合は非常に高いものです。
そして、特に歩行中の高齢者は、交通事故被害に遭いやすく、重篤な結果となりやすいという特徴があります。
歩行中の高齢者の方が交通事故に遭いやすい要因としては、加齢により身体能力や判断能力が衰え、例えば、歩く速度が遅いために横断歩道を渡り切れないとか、歩行中に急に転倒してしまうとか、交通状況の把握や危険の回避行動が遅れるなどといった事情により、交通事故に遭う危険性が高いことが考えられます。
また、高齢者の方は、体力の衰えにより、交通事故に遭った場合に重傷化あるいは死亡してしまう可能性も高いものと言えます。
そのため、現在では、警察などにおいて、高齢者の方の交通事故被害を防ぐための対策が講じられています。
例えば、警察では、ポスターやチラシの配布による、高齢者の方やドライバーに向けた広報啓蒙活動などが行われています。
また、高齢者の方やその家族においても、例えば、できる限り家族で一緒に行動するようにするとか、ドライバーに目立ちやすい服装をするなどといった対策を取ることが考えられます。
もちろん、ドライバーにおいては、常日頃から高齢者の方がいることに注意を向けて、より慎重な運転を行うなどの配慮が求められるものと言えます。
歩行中の高齢者の方が交通事故の被害に遭われた場合には、加害者側の保険会社から示談の提示がなされますが、その金額は裁判において認められるべき適正な金額を下回ることが常であり、十分な補償とは言えません。
また、保険会社からは、歩行者である高齢者の側にも落ち度があったとして、過失相殺の主張がなされ、より低い金額での示談が提示されるケースも少なくありません。
特に、高齢者の方が亡くなってしまった場合には、加害者であるドライバーが自身にとって都合の良い供述をし、そのために事故状況の立証が困難となることもあり得ます。
しかしながら、社会では高齢化が進行しているのですから、ドライバーには、そのような高齢者が存在することを前提とした安全運転を行うべきことが求められているものと言えます。
したがって、加害事故を起こしたドライバーの責任は重いと言うべきであり、被害者の方が高齢者であるからといって、安易に過失相殺が認められるべきではありません。
また、被害者の方やご家族の方が十分な補償を受けることは、当然の権利です。
十分な補償を受けるためにも、専門家である弁護士において保険会社との交渉や訴訟への対応をし、適正な賠償の確保を目指すべきでしょう。
八戸シティ法律事務所では、高齢者の方が交通事故の被害に遭われたケースについて、これまでに多数のご相談やご依頼をいただき、解決して参りました。
高齢者の方が交通事故の被害に遭われて、その後の対応などでお困りの被害者の方あるいはご家族の方がいらっしゃいましたら、是非一度、八戸シティ法律事務所にご相談をいただければと存じます。
(弁護士・下山慧)