家事労働部分と就業部分のうち、いずれか高い方を基準として休業損害が認定されるのが通常です。
兼業主婦とは、家事労働をしながら就業もしている女性のことを言います。
兼業主婦の場合、治療等のために欠勤・有給休暇を取得したことによる就業部分の休業損害と、怪我の影響で家事をするのに支障が生じたことによる家事労働部分の休業損害の発生が考えられます。
実務上の取り扱いとしては、家事労働部分と就業部分のうち、いずれか高い方を基準として休業損害が認定されることが多いです。
例えば、治療期間の210日間を通して、家事労働について平均50%の労働能力喪失が認められる一方で、治療等のための欠勤・有給休暇の取得により50万円の就業部分の休業損害が発生しているとします。
この場合、家事労働部分の休業損害を計算すると、次の計算式のとおり、109万5675円となります。
(計算式)
日額:381万9200円(令和2年の女性の平均賃金)÷366日(閏年)=1万0435円
計算:1万0435円×50%×210日=109万5675円
家事労働部分について計算した109万5675円は、就業部分の休業損害である50万円よりも高いため、休業損害の認容額は109万5675円のみとなります。
つまり、109万5675円とは別途50万円を受け取ることができる、ということにはなりません。
そして、就業部分の休業損害50万円について、保険会社に休業損害証明書を提出して50万円全額を受領済みなのであれば、次の計算式のとおり、残額として59万5675円のみを請求できるということになります。
(計算式)
109万5675円-50万円=59万5675円