逸失利益の計算は、原則として次の計算式により行います。
【後遺障害逸失利益】
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
【死亡逸失利益】
基礎収入×(1-生活費控除率)×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
そして、学生の逸失利益を計算する際には、基礎収入、生活費控除率、労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数について、以下のような考え方をします。
基礎収入
基礎収入は、学歴計全年齢の平均賃金を用いるか(学歴計とは、学歴で区分しない統計のことを言います)、大卒全年齢の平均賃金を用いるか、が問題となります。
この点、一般的に、小学生、中学生、高校生の場合には、学歴計全年齢の平均賃金が用いられることが多いでしょう。
しかし、大学生の場合、大学進学の可能性が高い場合には、大卒全年齢の平均賃金が用いられます。
ただし、労働能力喪失期間は、学歴計全年齢の平均賃金を用いる場合には18歳からとなりますが、大卒全年齢の平均賃金を用いる場合には22歳からとなります。
生活費控除率
一家の支柱 | 被扶養者1人 | 40% |
被扶養者2人以上 | 30% | |
女性(主婦、独身、幼児等を含む) | 30% | |
男性(独身、幼児等を含む) | 50% |
ただし、女子年少者の逸失利益について、男女の全労働者・全年齢の平均賃金を基礎収入とする場合には、生活費控除率を40~45%とするものが多いです。
労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
まず、①67歳までの期間に対応するライプニッツ係数【1】を出し、次に、②実際に働き始めるまでの期間に対応するライプニッツ係数【2】を出します。
そして、③上記【1】から上記【2】を控除した数値を労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数とします。
例えば、17歳の学生が22歳から働き始めることを前提とすると、①17歳から67歳までの50年に対応するライプニッツ係数は25.7298であり、②実際に働き始めるまでの5年に対応するライプニッツ係数は4.5797であるところ、③25.7298-4.5797=21.1501を労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数とします。