通常はシートベルトを装着していなかったことが交通事故発生の原因となるわけではありませんので、シートベルト未装着の場合に直ちに過失相殺されるわけではありません。
ただし、シートベルトを装着していなかったことにより損害が拡大したと認められる場合には、過失相殺されます。
シートベルトの装着の有無により傷害結果に差が出ることも少なからずありますので、シートベルト未装着は過失相殺の理由となり得るのです。
例えば、シートベルトを装着しなかったために座席から飛ばされて身体を打ちつけたり、車外へ投げ出されたりした場合などには、シートベルト未装着により損害が拡大したものとして、過失相殺が認められやすいでしょう。
一方で、事故の状況、傷害の内容、同乗者の傷害状況との比較などから、シートベルト未装着が損害の拡大に寄与したとは認められない場合には、過失相殺は否定されると考えられます。
シートベルト未装着により過失相殺が認められる場合、裁判例では5%~20%程度の過失を認めるものが多いです。
なお、シートベルト未装着による過失相殺は、運転席、助手席、後部座席のいずれにおいても認められる可能性があるものです。
過失相殺される可能性がある点もありますが、ご自身の身体の安全のためにも、自動車に乗る際には必ずシートベルトを装着するようにしましょう。