次の年金は、年金逸失利益の対象となります。
老齢基礎年金・老齢厚生年金等の老齢年金
退職共済年金等の退職年金
障害基礎年金・障害厚生年金等の障害年金

次の年金は、年金逸失利益の対象にはなりません。
遺族厚生年金・軍人恩給の扶助料等の遺族年金

以下では、退職年金・障害年金・遺族年金に関する最高裁判所の判例をご紹介いたします。

【最高裁判所平成5年3月24日判決 判例時報1499号49頁】
退職年金を受給していた者が不法行為によって死亡した場合には、相続人は、加害者に対し、退職年金の受給者が生存していればその平均余命期間に受給することができた退職年金の現在額を同人の損害として、その賠償を求めることができる。

【最高裁判所平成11年10月22日判決 判例時報1692号50頁】
障害年金を受給していた者が不法行為により死亡した場合には、その相続人は、加害者に対し、障害年金の受給権者が生存していれば受給することができたと認められる障害年金の現在額を同人の損害として、その賠償を求めることができるものと解するのが相当である。
(中略)もっとも、子及び妻の加給分については、これを亡●●(被害者)の受給していた基本となる障害年金と同列に論ずることはできない。
(中略)右各加給分については、年金としての逸失利益性を認めるのは相当でないというべきである。

【最高裁判所平成12年11月14日判決 判例時報1732号78頁】
他人の不法行為により死亡した者が生存していたならば将来受給し得たであろう右年金(遺族厚生年金)は、右不法行為による損害としての逸失利益には当たらないと解するのが相当である。
(中略)遺族厚生年金について述べた理は、共済給付金たる遺族年金においても異なるところはない。

【最高裁判所平成12年11月14日判決 判例時報1732号83頁】
他人の不法行為により死亡した者が生存していたならば将来受給し得たであろう(軍人恩給の)扶助料は、右不法行為による損害としての逸失利益には当たらないと解するのが相当である。