事故車が全損となった場合、車両時価額(および代替車を購入する際の買替諸費用)をもって損害額とされます。

そして、事故車の車両時価額の算定方法は、「原則として、これと同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古市場において取得しうるに要する価格によって定めるべき」(最高裁判所昭和49年4月15日判決)とされています。

一方で、改造・カスタムした事故車と同じ条件のものを取得することは困難なことも多いと考えられます。
そこで、このような場合には、ベースとなる事故車自体の車両時価額(中古市場における価格)に加え、改造・カスタムの費用を減価償却して算定した金額を賠償請求することができると考えられます(東京高等裁判所平成30年3月20日判決)。

ただし、
①その改造・カスタムが道路運送車両法の定める保安基準に反するなど法に抵触するような場合
②その改造・カスタムが、車の効用を高めるものではなく、かえって車の効用を低下させる場合など、
車の交換価値を増加させない場合や、かえって車の交換価値を減少させる場合には、ベースとなる事故車自体の車両時価額のみを損害額と認め、場合によっては車両時価額を減額するべきであると考えられます。

【東京地方裁判所平成元年2月10日判決】
5か月前に装備を付けて購入した自動二輪車の損壊について、購入価格の85%を損害としました。

【名古屋地方裁判所平成3年11月27日】
商品積み込み棚の改造・カスタムをしたバンの車両時価額について、事故2か月前に購入した車両であることから、購入価格と改造・カスタム費用の全額を損害として認めました。

【東京地方裁判所平成6年9月13日判決】
タクシー仕様の改造・カスタムを施した車両の時価額について、定率法により法定耐用年数3年として1年2か月間使用の減価償却後の残存率0.408を用いて算定しました。

【大阪地方裁判所平成8年3月22日判決】
ドイツから購入した塗料での塗装、マフラー・ゴム類・ダッシュボードおよびサイドパネルの交換ならびにオーバーホールが施された車両の時価額について、走行上の不具合があったわけではなく、もっぱらカーマニアとしての趣味を満たす目的でなされており、これらによって客観的価値の増加があったとは認められないとして、ベースとなる車両の購入価格をもとに損害額が算定されました。

【名古屋地方裁判所平成15年2月28日判決】
自動扉・看板灯などタクシー用装備を施した車両の時価額について、タクシー装備を含めた新車購入価格に定率減価償却方式を採用し、その価格の1割(最終残価率)を損害としました。