1 追突事故の基本的な過失割合
追突事故では、基本的に、追突した加害者と追突された被害者の過失割合が100:0になります。
過失とは、何らかの落ち度がある側に認められるものですが、通常の追突事故は加害者の前方不注視や誤操作などの一方的な落ち度によるもので、被害者には何の落ち度もないからです。
2 追突事故で過失割合が100:0にならないケース
これに対し、被害者にも何らかの落ち度が認められる場合は、過失割合が100:0になりません。
典型的には、以下のような場合、被害者にも過失が認められることになります。
①不必要な急ブレーキを行った場合
先行車両が急ブレーキを行うと、後続車両との車間距離が縮まり、追突の危険が発生します。
そのため、道路交通法第24条は、「危険を防止するためやむを得ない場合」でない限り、急ブレーキを禁止しています。
「危険を防止するためやむを得ない場合」とは、具体的には、目の前に歩行者が飛び出してきた場合や、直前まで気づくことのできないような道路の損壊や障害物があった場合などです。
このような場合でないのに急ブレーキを行い、事故の危険を発生させたとすれば、この点には先行車両にも落ち度があると言わざるを得ません。
不必要な急ブレーキを行った場合、先行車両にも30%程度の過失が認められます。
②駐停車に関する違反がある場合
先行車両が駐停車している場合でも、駐停車の方法についての違反などがあれば、先行車両に一定の過失が認められます。
例えば、駐停車禁止区画に駐停車した場合や、夜間にライトを点灯していなかった場合などです。
これらの場合、後続車両からすると、先行車両がいることを予見したり気付いたりするのが難しくなるため、先行車両にも一定の落ち度があると考えられることになります。
駐停車に関する違反がある場合には、先行車両にも、違反の内容に応じて10%~20%程度の過失が認められる可能性があります。
③高速道路(自動車専用道路)の場合
高速道路(自動車専用道路)では、すべての車両が一定の速度を維持して通行することを前提に、一般道路よりも高い法定速度・制限速度が定められています。
そのため、高速道路での急ブレーキや駐停車は、一般道路におけるものと比べて危険性が高く、過失も重いものとなる傾向にあります。
高速道路では、危険を防止するためにやむを得ない場合でないのに急ブレーキを行った場合は50%程度、駐停車に関する何らかの違反がある場合はその内容に応じて20~40%前後の過失が認められることになります。
3 追突事故の過失割合でもめた場合の弁護士の活用
上記のとおり、追突事故の被害に遭ったからといって、過失割合が100:0にならない場合も存在します。
しかし、加害者側が過失を指摘してきたからといって、その主張が常に正しいとは限りません。
実際に過失が発生するかは、具体的な事故の状況によるため、警察官作成の実況見分調書やドライブレコーダー、車両の損傷状況などの証拠を精査したうえで、適切に判断する必要があります。
そして、専門家である弁護士に対応を依頼することにより、これらの証拠を収集したうえで、加害者側の不当な主張は排斥し、適切な過失割合を算定することが可能となります。
そのため、追突事故の過失割合でもめた場合は、交通事故に詳しい弁護士に相談・依頼することが一つの手段といえるでしょう。
当事務所では、これまでに、交通事故に関するご相談・ご依頼を多数お受けし、解決実績も豊富にございます。
追突事故の過失割合でもめた場合には、ぜひ一度、当事務所にご相談いただければと存じます。
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