弁護士費用特約とは、弁護士費用が実質0円になる自動車保険の特約です。
交通事故の被害者の方やご家族の方が加入している自動車保険に弁護士費用特約が付いていれば、その自動車保険で弁護士費用が填補される可能性があります。
①交通事故の被害者の方が加入している自動車保険、
②ご家族の方が加入している自動車保険、
③事故時に同乗していた車の自動車保険
上記保険の契約内容をご確認ください。
これらの自動車保険に弁護士費用特約が付いていれば、弁護士費用が実質0円で弁護士にご相談・ご依頼いただける可能性があります。
弁護士費用特約の概要
弁護士費用特約とは
弁護士費用特約とは、自動車保険に付いている特約で、利用できる条件を満たしていれば、交通事故の被害について弁護士にご相談・ご依頼いただくにあたって、ご自身が加入している自動車保険の保険会社が弁護士費用を填補してくれるというものです。
特約の名称としては、「弁護士費用特約」、「弁護士費用補償特約」、「弁護士費用等補償特約」など、保険会社や保険商品によって様々であり、限度額や利用できる範囲にも違いがあります。
なお、「弁護士保険」や「権利保護保険」などの名称で、独立した保険商品となっているものもあります。
弁護士費用特約のメリット
弁護士費用特約を利用することにより、弁護士費用の負担を気にすることなく、交通事故の被害について弁護士にご相談・ご依頼いただけるようになります。
弁護士に交通事故の示談交渉や訴訟をご依頼いただくことにより、賠償金が増額となるケースが多いです。
もっとも、通常であれば、必要となる弁護士費用の金額と、弁護士に依頼することで見込まれる賠償金の増加額とを比較検討した上で、弁護士に依頼するかどうかを判断しなければなりません。
しかし、特に交通事故直後の時期などには、正確に今後の見通しを立てることが難しく、判断に迷うケースも多くあります。
このようなケースでも、弁護士費用特約が利用できるのであれば、ご自身が加入している保険会社が弁護士費用を填補してくれるため、判断に迷うことなく弁護士に依頼することができるというメリットがあります。
なお、弁護士費用特約を利用しても、自動車保険の保険等級には影響しません。
来年以降の保険料が高くなることを心配しなくてよいという点も、弁護士費用特約のメリットです。
弁護士費用特約の上限額
弁護士費用特約で賄われる上限額は、法律相談料10万円、弁護士費用300万円と設定されている自動車保険が多いです。
法律相談料10万円というのは、一般的な弁護士の法律相談料が1時間ごとに1万1000円(税込)であることからすれば、おおよそ9時間分の法律相談料に当たりますが、弁護士に依頼する前の法律相談を何度も重ねて、その累計が9時間分の法律相談料を超えてしまうようなことは少ないでしょう。
また、弁護士費用300万円というのは、一般的な弁護士費用(着手金・報酬金の合計)の水準で、おおよそ賠償金の額が1700万円以下の案件では弁護士費用が全額カバーされる計算となり、ご自身の持ち出しはありません。
そして、賠償金の額が1700万円を超える高額の案件であっても、訴訟を提起することで加害者側に対して弁護士費用の一部や遅延損害金の請求が可能となりますので、弁護士費用特約による填補と合わせると、お客様の持ち出しをゼロまたは最小限に抑えることができます。
いずれにしても、弁護士費用特約を利用することで、弁護士に依頼することによる賠償金の増額というメリットを享受できる一方、弁護士費用のコストをゼロまたは最小限に抑えることが可能となるのです。
弁護士費用特約の利用方法
弁護士費用特約を利用できる範囲
弁護士費用特約は、以下のように、利用できる範囲が広いという特徴があります。
①弁護士費用特約が付いた自動車保険の契約自動車での交通事故はもちろん、他の自動車での交通事故、歩行中の交通事故、自動車・バイクでの交通事故についても、弁護士費用特約を利用することができます。
②弁護士費用特約が付いた自動車保険の被保険者(保険の対象となる者)はもちろん、配偶者、同居している親族が交通事故に遭った場合にも、弁護士費用特約を利用することができます。
また、別居している子どもが交通事故に遭った場合にも、その子どもが未婚であれば、弁護士費用特約を利用することができます。
③弁護士費用特約が付いた自動車保険の契約自動車での交通事故については、家族以外の同乗者も弁護士費用特約を利用することができます。
※ただし、上記は一般的な弁護士費用特約の適用範囲であり、保険会社によっては上記とは異なる適用範囲となっていることもあります。
弁護士費用特約が利用できるかどうかの確認方法
弁護士費用特約は、多くの場合は自動車保険の特約として付帯されています。
最近の自動車保険では、弁護士費用特約が付いていることが多いです。
弁護士費用特約は、ご自身で特約として契約した覚えがない場合でも、保険会社や保険代理店が提示してくる自動車保険の「おすすめプラン」などに元々組み込まれているのが通常であり、特に意識していなくても付帯されていることが少なくありません。
まずは、交通事故の被害者の方が加入している自動車保険について、保険証券の内容を確認したり、保険会社や保険代理店に問い合わせたりするなどして、弁護士費用特約が利用できるかどうかを把握することをお勧めします。
また、弁護士費用特約は、上記のとおり、利用できる範囲が広いという特徴があります。
ご家族の方が加入している自動車保険、事故時に同乗していた車の自動車保険についても、同様に弁護士費用特約が利用できるかどうかをご確認いただくとよいでしょう。
なお、上記のとおり、自動車保険に付帯される弁護士費用特約以外にも、「弁護士保険」や「権利保護保険」などの名称で、独立した保険商品となっているものもあります。
また、火災保険や傷害保険、個人賠償責任保険などの特約として、弁護士費用特約が付いていることもあります。
弁護士費用特約の利用の流れ
まずは、上記の方法で、弁護士費用が利用できるかどうかをご確認ください。
弁護士費用特約が利用できることが確認できたら、弁護士へのご相談・ご依頼をします。
弁護士費用特約を利用するにあたって、ご相談・ご依頼いただく弁護士は、保険会社が紹介する弁護士である必要はなく、お客様が選んだ弁護士にご相談・ご依頼いただくことが可能です。
そして、ご相談・ご依頼を受けた弁護士から保険会社に対し、直接、弁護士費用特約を利用してのご相談・ご依頼があった旨の連絡や、法律相談料や着手金のご請求・ご精算を行うというのが通常の流れとなります。
なお、保険会社によっては、お客様が一旦弁護士費用(法律相談料や着手金)を立て替えたあと、お客様が保険会社に対して、立て替えた金額を請求・精算するというシステムを取っている保険会社もあります。
弁護士にご相談ください
弁護士費用特約は、交通事故の被害者側が弁護士費用の負担を心配することなく、安心して弁護士にご相談・ご依頼いただくことのできる、大変心強い保険特約です。
当事務所では、弁護士費用特約を利用してのご相談・ご依頼を多数取り扱っております。
交通事故の被害でお悩みの方は、是非一度、当事務所にご相談ください。